ずいぶん透き通ってきたものだね。 きみは、 自分がどんな色だったか覚えているかい。 色々なやつが、 きみにべたべたとペンキで色を塗って、 お前はこんな色だと騒いでいるけど、 あいつらは、 きみが透き通っていて、 向こう側が見えてしまうことに、 耐えられないだけさ。 もっとも、 そんなおしゃべりは、 きみの耳には、 入ってこないだろうけどね。 それにしても、 あのとききみは、 どんな色になりたかったんだい? 赤、青、白、黒、 それとも金色や銀色? どんな色にしても、 それは、 きみの色じゃないんじゃないかな。 もちろん、 きみは透き通っているわけでもない。 だって人間の色は、 そんなに変えられるものではないし、 変わってしまうものでもないと、 思うんだ。 夏の日ざしを浴びたら、 少し濃くなった自分の色に気付く、 なんていうのは甘いかな? いまきみは、 自分がどんな色になっていると、 思っているのだろうか。