ずいぶん、昔 森の木には 何でも覚えている 目があるから 森へ行ってはいけないと 村の人々が本気で信じていた頃 子供の私は そんなことは全然信じないで 森の中でも 一きわ大きい木の目を 白く濁ってくるまでなめまわして 逃げてきたのでしたが 今朝私の寝床の枕元に はえていたその木の目は まだ白い涎をたらしていました