一人が海外転勤になるので、 大学のクラブの同期五人が集まった。 久しぶりと口々に言う、 私以外の四人の姿が、 私の視野に写っている。 一人が強く主張することによれば、 五人が揃ったのは二十年ぶりだという。 この映像は、 二十年ぶりの貴重な映像だったのか、 と思う。 二十年前、二十歳前後だったときには、 二十年というのは大変に長大な時間だと思っていた。 ほかの四人もきっとそう思っていたに違いない。 一人がこの二十年はあっという間だったと言った。 本当にそうだったとほかの四人も口を揃えた。 あと二十年もあっという間だろう。そのときには、 みんな六十過ぎのじじばばだな。 二十年後、私の視野に写る四人を想像してみた。 そのとき私が死んでいたら、 私の視野というものはないのだな、 と思った。 それでも、 欠落した視野から、 どうにかして四人を見よう、 ともがいた。