ここは最高だねえ。 洗濯はしてくれるし、 風呂には入れてくれるし、 座っていれば、 はいと食事を出してくれる。 そう言っているのは、 かつて家族全員の炊事洗濯を していたであろう老婆である。 本当にそうだねえ、 と別の老婆が答える。 話しているのは、 その二人だけだ。 全部で男女二十人ほどいる。 みんな車いすに乗っていて、 はいと食事が出てくるのを、 黙って待っている。 暖かい日の光は、 この建物の中にも 入り込んでいたが、 何やらばつが悪そうに、 もじもじしていた。