あなたが亡くなったのを
知っていると思っていた誰かが
それなりの顔をして語る時
僕の中でやっとあなたは死んだ
・
あなたから預かっていたものがあった
僕は返すことが出来ない(もう)
・
あれは死ぬための
笑顔
お別れの挨拶
僕を祝福しに来てくれたのに
ありあまった語彙も
言葉にしなければただの意味
・
死んだ後でみんな神様になる
・
コクトーが死んだ後の
コクトー展のあの
意味のない行列
に
消費されていくコクトーを
喜んだのは
誰か
・
何時のときも
人力飛行機をブームにした人達は
みんな青空を目指して漕ぎはじめる
馬鹿みたいに
書を捨てて
家出をして
自殺をして
ギターをかきならし
ペダルを踏んで
飽きたら
卒業
・
(いったい何からの)
・
でも預かっていたものを
返せずにいる僕は
どうしたらいいのか
・
何時のときも許せなかった自分がいる
・
晴れた日
流れていく雲に
少し気後れしながら
そして
やっと一片の詩を生む
・
有無
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