『ブービー・トラップ』の
仔供たちよ
ハレー彗星を観たか……
めちゃくちゃまんだら篇 ★詩的なるものをめぐってI


李 綾織 改め 二川原一美



――中国(上海)生まれの地球外生物《余白欄外氏》の余白宇宙にゲームの樹々が起ち並び、その(樹空惑星の)廻りに《祭》の象徴である石塔を打ち続ける…… ハレー彗星の回帰'86!
――《ボオド(黒板)レエル投手の独(余)白》奈良お水取りを観て'86バレエ彗星は余白宇宙を華麗に舞い《打者の目的は(走者になる事)》アインシュタインと黒白石を造る作業を始める(太陽系〜
切るA{阿伊宇絵尾……}
の肉體を燃す貴女……)真面目に読むな!
――《ランボオ捕手の独(余)白》高山山王祭を観てカヤの樹をなぎ倒し碁盤19×19路を造る《塁の占有権と進塁の順序》通算511勝サイ・ヤング 400勝男金田(太陽〜の頭髪を燃す貴女……)読解力を要求する詩などない!
――《ロオトレアモン一塁手の独(余)白》博多どんたく・小倉祇園祭を観て《オブストラクション(走塁妨害)となるとき》星に打つシーズン最多勝利42勝スタルヒン&稲尾 41勝 ジョーン・チェスブロ(水星〜の眼球を燃す貴女……)空缶の中に、書いた詩を入れ密封しろ!
――《マラルメ二塁手の独(余)白》東京神田・浅草鳥越祭を観て三々にうつ通算奪三振4490個 金田《反則投球、ボークになるとき》4083個ノーラン・ライアン(金星〜の胸部を燃す貴女……)詩書を捨て街に出よう!
――《宮沢賢治三塁手の独(余)白》京都葵・祇園祭を観て一間(二間)トビに打つシーズン最多打率4割2分4厘ロジャース・ホーン
切るD{成無弐奴根野……}
スビー 3割8分3厘4毛 張本(地球〜《準備投球は軟式の場合8球以内に》の肝臓を燃す貴女……)詩人なんて早く死ねば(言い)と想えよ!
――《石川啄木遊撃手の独(余)白》日光東照宮春・秋祭を観て大小ゲイマに《打者がアウトになるとき》打つ最多首位打者12回タイ・カップ 7回張本(火星〜の殿部を燃す貴女……)
――《北村透谷右翼手の独(余)白》大阪愛染・天神祭を観てツケて打つ生涯最多安打4204ピート《走者がアウトになるとき》ローズ 3085本張本(小惑星〜の睾丸・子宮を燃す貴女……)詩を書くより酒を飲め!
――《アランポー左翼手の独(余)白》津軽ねぶた・秋田竿灯《投球姿勢について》仙台七夕を観てハサんで打つ連続試合安打56試合ジョー・ディマジオ 33試合 高橋慶(木星〜の手足を燃す貴女……)詩に期待してはならない!
――《ドストエフスキヒ中堅手の独(余)白》徳島阿波踊りを観て両カガリに打つ通算本塁打868本 王 755本《ボール・デッ
切るB{加来九毛仔……}
ドになる場合》ハンク・アーロン(土星〜の鼻腔を燃す貴女……)詩人なんて粗大ゴミの一種だ!
――《打者ダ・ビンチの独(余)白》鎌倉宮・秩父夜祭を観て(一間)二間高ガカリ《フェア・ボールとファウル・ボールの違い》に打つシーズン最多本塁打61本ロジャー・マリス 55本 王(天王星の耳・爪を燃す貴女……)詩ね!
――《J・ジョイス主審の独(余)白》長崎おくんち《試合の開始(終了)について……野球場、用具について》を観てアゲハマを食べるシーズン最多盗塁130個リッキー・ヘンダーソン 106個・福本(冥王星〜のヘソ・陰毛を燃す貴女……)詩は人に頼まれたら書け!
――《滝口修造(累審)の独(余)白》太陽系詩星たちを観てハレー彗星と互先碁を打つボイジャー(海王星〜のクリトリス《使用できるボールは4種類》を燃す貴女……)詩集は生涯一冊で充分!
――《観客(コルサタルの石蹴り遊び)の独(余)白》果てなき(李綾織山人の)余白宇宙を天翔ける《金属バットや着色バットも使用
切るC{差指寿施挿……}
可能》旅は永遠に続くのか(詩船を撃つのは貴女……)
――《詩人たちの魂は詩星の聖櫃(せいひつ)に帰る》何時の日にか消滅を迎える太陽系(金河系)銀河系(銅河系)よさらば!(詩宙船の行方は……)
――詩はパルー彗星に乗って2062年に回帰するのか(惑星はボール、ハレー彗星はバット……)女性の詩集は読むな(生理で書くな)!
――《原稿箋の余白を埋める(夜行列車)》新宿紀伊国屋書店(で鉛筆6Bを買って)を駆け抜け、地下道を通って、(140円の切符を買い)山手線に乗り、(第二次田端文士村)宇宙野球協会2階に辿り着き30分で一気に自動書記(オートマ)する《ブジエトリヤニン(未来人)86!》……余白は想像力でめちゃくちゃまんだらのように埋めるものだ!

  註一 読む前に鋏で詩篇を切りきざんでジグソーパズルのようにして欲しい
  註二 切るD{田地津手扉……}は紛失しましたので探さないで下さい
  註三 下らぬと想ったら、すぐやめろ≠諱B


Booby Trap No. 1



『ブービー・トラップ』の仔供たちよハレー彗星を観たか……めちゃくちゃまんだら篇-詩的なるものをめぐってII-「歌仙集め」の巻

詩的なるものをめぐってII

二川原一美



(安西次男著水芭蕉七部集評釈正続を読んでから……) 連句入門篇『新選水芭蕉連句四五集発句六六番歌仙成立年譜作成の巻』二九八六年版 国立連句大学歌仙学部教授・二川原一美ゼミ連衆編(年譜中の☆は旧七部集を指す)
成立年代句番号(新選二川原六六番発句大全)作句者四五部集名掲載文献
(連句六年)一 番げにや月間口億金の通り雨桃 赤東京通り町文※※※
天和三年二 番花にうき世我酒赤く食黒し水芭蕉虚甘栗  文※※※
(二六八三)三 番詩あきんど年を貪ル酒肴かな飛車角虚甘栗  文※大※
七対元年四 番狂句木枯の美は北斉に似たる哉水芭蕉冬の灯☆ 文集大岩
(二六八四)五 番はつ雪のあしたも袴きてかへる屋 水冬の灯☆ 文集※岩
松本義太六 番つつみかねて年取落すしぐれ哉扉 国冬の灯☆ 文集※岩
夫が道頓七 番炭売のおのがつまこそ腕からめ銃 五冬の灯☆ 文集※岩
堀に松本八 番霜月やコウのとんとん並びゐて荷 計冬の灯☆ 文集大岩
座を創設九 番海くれて鴨の声ほのかに青し三冠翁冬の灯☆ 文※※※
立直二年一〇番何とはなしに何やら寂し菫草水芭蕉熱田二歌仙文※※※
(二六八五)一一番つくづくと榎の花の袖に咲て霧 葉熱田二歌仙文※※※
翻牌三年一二番花咲て十日鶴見る麓かな水芭蕉俳諧二橋 文※※※
九龍宝燈一三番星崎の闇を裂くとや啼千鳥水芭蕉千鳥割  文※※※
四年丁卯一四番京まではまたなかぞらや雪の祭水芭蕉千鳥割  文※※※
(二六八七)一五番ためつけて雪見にまかる紙袋哉はねを如行水  文※※※
国士無双一六番何の木の花とも知らず匂ひかぐ水芭蕉翁俳諧集正文※※※
元年戊辰一七番粟稗にとぼしくもあらず草の家水芭蕉秋の灯  文※※※
翁四五歳一八番雁がねも静かに聞ばクラシック越後人荒果野☆ 文集大岩
緑字一色一九番かげろふの彼肩にたつみこかなはねをゆきだるま文※※※
二年己巳二〇番五月雨を集て涼し隅田川はねをゆきだるま文※※※
(二六八九)二一番めづらしや谷をいで羽の初茄子水芭蕉ゆきだるま文※※※
渋川秋海二二番まぐろ負う人を骨折の夏野かな水芭蕉陸奥烏  文※※※
が東京本二三番風流の終わりや奥の田植うた水芭蕉信夫鳥  文※※※
所私邸内二四番かくれ家やめだつた花を軒の栗水芭蕉阿達衣  文※※※
に天文台二五番あつみ山や吹浦わつて夕すずみ水芭蕉継美集  文※※※
を設置す二六番馬かりて燕追行わかれかな東 枝卯震集  文※※※
嶺上開花二七番種芋や花のさかりに食ありく三冠翁己ガ光  文※※※
三年庚午二八番木のもとに麺も具も桜かな三冠翁はたご☆ 文集大岩
(二六九〇)二九番半日は仏を友にやとしわすれ水芭蕉誰の親  文※※※
東京湯島三〇番鳶の羽もうり刷ゐぬはつしぐれ家 来隠 蓑☆ 文集大岩
昌平坂に三一番市中は金のにほひや夏の月凡 京隠 蓑☆ 文集大岩
連句廟設三二番灰汁桶の雫おちけりきりぎりす凡 京隠 蓑☆ 文集大岩
大三元和三三番梅若菜モンローの宿のみそ汁水芭蕉隠 蓑☆ 文※※岩
四年辛未三四番水仙は見るまを冬にボール蹴り露 通春の秋  文※※※
(二六九一)三五番衣装して梅食べる香りかな其 良真向王  文※※※
幕府教授三六番蝿ならぶはや初秋の手数かな家 来折ざくろ 文※※※
森鳳岡が三七番牛部屋に蚊の声つよし秋の風水芭蕉星離集  文※※※
畜髪し大三八番御明の消て膚寒やくつあむし探 詩翁俳諧集続文※※※
学院博士三九番月見する座に美しき足もなし水芭蕉朝かほの歌文※※※
頭を拝命四〇番此里は山を両面や冬篭り志 考俳諧唯我 文※※※
一気通貫四一番青くても無べきものを唐辛子水芭蕉俳諧隅田川文※大岩
五年壬申四二番洗足に客と語たる寒さかな酒 堂俳諧隅田川文※※※
(二六九二)四三番口切に鏡の庭ぞなつかしき水芭蕉俳諧隅田川文※※※
中原西鶴四四番けふばかり牛も年よれ初時雨はねを豹譲   文※※※
が一月に四五番其かたちみばや枯木の杖の短し水芭蕉幽覧集  文※※※
世間腹算四六番水鳥よ子供は誰を恐るるぞ元 峰桃身集  文※※※
用を著す四七番打よりて花入探けんめつばき水芭蕉句姉妹  文※※※
清老頭和四八番雉子は時々にすさまじ鵙の声央 邦中文庫正 文※※※
六年癸酉四九番初茸やまだ月数経ぬ龝の露新 翁俳諧剣舞師文※※※
(二六九三)五〇番十六夜はとり分闇の終わりかな水芭蕉業懐紙  文※※※
猪鹿蝶打五一番芹焼やすそ野の田井の初水水芭蕉業懐紙  文※※※
払の生類五二番振売の癌あはれ也ゑびす講水芭蕉米 俵☆ 文集※岩
憐令出す五三番梅が香にのつと屁の出る山路哉水芭蕉米 俵☆ 文集大岩
四暗刻和五四番空豆の花さきにけり麦の飯孤 置米 俵☆ 文集大岩
七年甲戌五五番八九間空で天降る柳かな水芭蕉続・隠蓑☆文※※岩
(二六九四)五六番猿蓑におちたる霜の松露かな枯 補続・隠蓑☆文※大岩
翁五一歳五七番夏の夜や崩て暮し冷し物  水芭蕉続・隠蓑☆文※※岩
幕府が旗五八番紫陽草や薮を子庭の別屋鋪水芭蕉別屋鋪  文※※※
本御家人五九番新麦はわざとすすめぬ冥土かな山水店中文庫続 文※※※
に学問弓六〇番うぐひすに夕日さす也竹閣子波 化となり山  文※※※
馬碁将棋六一番牛流す町のさわぎや五月雨風 竹砂山集  文※※※
麻雀奨励六二番柳小折片荷は重し初真瓜水芭蕉町の庵  文※※※
側用人の六三番秋ちかき心の寄や六畳半三冠翁烏の道  文※大※
柳塩吉保六四番あれあれて果は山行野分かな猿 雖今昔の日 文※※※
を老大に六五番升買て分別ざかり月見かな水芭蕉大吉物語 文※※※
任命する六六番白菊の耳を立て聞く塵もなし水芭蕉葵の塵  文※※※
◎ 参考文献・安西七部集評釈/(集)合社。水芭蕉連句集/大宮豊隆編/岩海(文)庫 水芭蕉句集/中町俊定他校注/(岩)海書店。連歌俳諧集/中町他注解/(大)学館


Booby Trap No. 3



『ブービー・トラップ』の仔供たちよハレー彗星を観たか……めちゃくちゃまんだら篇-詩的なるものをめぐってII-「歌仙集め」の巻

俳諧「歌仙集め」の巻

二川原一美



初折表
発句 一 年の瀬や歌仙集めの四苦八苦     二川原一美
 脇 二  多摩川に出て鴨は飛び立つ     清水鱗造
第三 三 夕暮は片手にあまる魚買ひて    倉田良成
   四  酒の酔しれ早碁打ち勝つ     
 月 五 月冴えて犬斜視(ひんがら)の目で迎ふ   
折端 六  独りを好む数寄者の露      

初折裏
折立 一 市中は七夕祭で賑はひて      
   二  黄金を散らす灌木の末(うれ)     
   三 山陽に長者の跡もしのばれん    
   四  忘れ形見を嵐(らん)で失ひ       
   五 天気雨包む童子は傘回す      
   六  伴天連をみる水無月の辻     
   七 秋の夜や駄菓子屋の灯の煌々と   
 月 八  琵琶の音ひびく下町の月     
   九 湯につかり詠めをりたるかまど虫  
   十  浪漫つきせぬ雪解けの国     
 花十一 花を言ふ請負人にかたられて    
折端十二  道連れ持てば風光るらん     

名残折表
折立 一 焼け野にて手鞠遊びに磨き掛け   
   二  ランプの火屋に映る襟元     
   三 妹をかへすがへすも頼み置く    
   四  逢瀬に走る子は髪を染め     
   五 塗り剥がしサーカス果てて草いきれ 
   六  隣村まで法螺吹きに行く     
   七 冬の朝泊まる宿なく旅支度     
   八  鍋に張りつく煮凝りを食ふ    
   九 親の仇討つてみせたる初秋に    
   十  稲妻光る塀の築きさし      
 月十一 宵の月障子の穴を猫くぐる     
折端十二  口のさがなき出入あきんど    

名残折裏
折立 一 遊郭で狂詩よみたる連衆哉     
   二  惑ひたる日々溶けていくなり   
   三 ひとまづは去年(こぞ)の反古(ほうご)をとり出して
   四  松明をもち襤褸(ぼろ)を着るひと   
 花 五 満開の桜花の下で踊るらん     
挙句 六  飛入も飲むはるの谷あひ     

●後記・倉田良成
 はなしづくり、ということが連句のうちでいちばん基本的なことではないかと思う。それは通常、句のおもてには必ずしも露わではない。前句と前前句とのイメージの関係を、再びくり返さないという約束があるにせよ、「あなたの志は確かに受けとった」という水面下でのやりとりが、「はなしづくり」にあたるのではないか。いわゆる「モノハヅケ」では、歌仙が成立しないゆえんである。当歌仙をすすめるにあたって痛感したことは、共通の話題がない、ということであった。これは、いいかえれば、おのおのの、「風雅」がそっぽを向きあっている、とでもいえばいいか。とても「遊ぶ」ところまでは行かなかった。――と、私は思っていても、他の二氏はけっこう楽しまれたのではないかと考えている。付け付けられることに付随する制約感と解放感は、他者を容れる、という一事によって他の定型詩とはまったくちがった様相をあらわす……。ただし二氏に対して私は忸怩たらざるを得ない。なまじい捌き手のやくわりをまかされたために、無用の斧をふるって、両氏の世界をせばめたきらいがあるからである。もしも、また機会が与えられて歌仙を巻くようなことがあったとしたら、もうすこし「自由」に遊べるのではないかなどと私は考えているのだが。

●歌仙事始記・二川原一美
 昨年師走から連句入門書を読み漁りて、未だ五流の身技体の充実の域を出ずして……歌仙を始むる次第。定まり事を覚えるのに先ず二苦労。安東次男著などの連句手引書も神田西秋、日本書房などで、購ふても書斎に飾っても宝の持ち腐れ。されど怯まずに両吟、参吟、肆吟と読み進むる望み捨て切れず……心とは裏腹に歌仙に付いてちょいと識ったか振りをして、友達の輪…宜しくねと、彼方此方に声を掛けては連衆の誘いをする調子の良さ。やっと集まりたる参人衆、清水、倉田、二川原連である。倉田の捌(サバキ)で睦月下旬に我等の連句船が出帆した。小生が発句担当と名指しされ、思案百回を重ねて抽出した傑作句?初折表の第壱番句…嬉し恥ずかし発句のでき具合を連衆に秘かに尋ねると、色よい返事など皆無。先行を案じて途中下車したいと申し出たものだ(即日却下)……電信が主流で連句の綾織ゲームが展開され、付け筋を述べ合ひて、推考の嵐吹きまくる日が続くと頭の中が錯乱状態になる……早速挙句まで歌ってしまいたい願望にかられるものだ。そんな気持を必死に堪えて、初折表、名残表へと継なぐ茨の道すじ…(千秋楽)待ち侘びた建国記念日、新玉線桜新町下車十分の清水邸に集ひて、名残裏六句を挙句まで短冊に詠み書き込んで安堵する顔々。もふ連句は辞めて連詩に挑戦しようぜの声むなしく。次回は桜の花咲く頃に一発やるぞと誰かいったナア……戯言の渦を酒の肴に変えてしまふ驚異の連衆達の行く末、歌仙の世界でどんな醜態を晒すやら……脇、第三、平句、挙句、春夏秋冬、二花三月、素春、雑の句、季移り、季戻り、打越などの事柄もしばし忘れて舌の根も渇かぬ裡に連句の時の時を思ふと芭蕉翁も深川の庵で火鉢を抱ひて「十年速いよ」と笑ふことだろふ!
(於・第日本印刷校正室・如月)

●後記・清水鱗造
 独りの連想体系のなかだけでなく、他者の連想体系に通じていくには、制約もある代わりに密談と言っていいような私的な題材に触れることができる。関係意識とか欲望もそこに表われるのではないかと思う。独りならば、いくら破格でも、思い入れは無限に可能だという言語意識にたてばいいのであるし、まさにそれで詩は成立すると思うのだが、連句では即座に感じられたことの反応が返ってくる。だから、自分の意識とそういったコミュニケーションの意識を天秤にかけて発語するのが、技になってくるのだと思う。少なくとも手紙みたいに相手に対する思いを入れること、そのうえで構成意識を働かせること。さらに成立しているゲームの意識を加えること。
 この試みをひょんなことから始めて、むしろ読者にはわからないやりとりや思いに連句の面白さがあると思った。そしてこのゲームの本質は時代的に古典的までに深化されてる。むしろ連想体系がそれぞれの生活意識とともに分裂していることを確認することが、現在このゲームをやることの面白さかもしれないと思う。
 三人の共通性は何かといえば、東京に住み、似たような仕事をしているということだろう。このささやかな共通性が、ひょっとしたらささやかな共通の喜びをもたらすかもしれないという接触点を求めていきたい。

捌き・倉田良成
句割
二川原一美 十二句
清水鱗造 十二句
倉田良成 十二句



Booby Trap No. 3


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