水まき



地下鉄の駅から地上に出ようとすると、 階段がぬかるんでいて、 いくつもある足あとがつるつるすべる。 見上げると、 外の路面も一面に水をかぶっていて、 日の光をぴかぴか反射している。 びしょびしょになるまで、 水をぶちまけたりして、 迷惑なことをする人もいるもんだ。 そう思ったのは一瞬で、 あとは何を考えていたのだろう。 しばらく歩いていて気がつくと、 街じゅうが濡れていた。 水をぶちまけたのは、 人じゃなかったのか。 空が真っ青になって笑っていた。


(C) Copyright, 2007 NAGAO, Takahiro
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鈴木志郎康氏評
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