小骨君



喉に引っかかった小骨、 のような存在であり続けること。 小さいながら、 常に存在感を誇示し、 消し去りたいという、 喉の持ち主の望みを、 微塵に打ち砕き続けること。 いくら頑張っても、 最後に手を離してしまったら、 喉の持ち主に、 過大な歓びを与えてしまうこと、 頑張れば頑張るほど、 余計に大きな歓びを与えてしまうことを、 深く自覚し、 何があっても決して手を離さないこと。 最終的な解決などというものは、 決してあり得ないということを、 喉の持ち主に教育し続け、 教育したことを、 決して忘れさせないこと。 だからと言って、 間違っても、 教育してくれてありがとう、 などと喉の持ち主に感謝されるような、 どじを踏まないこと。 そのようなことを心がけながら、 その人は一生を送ったのです。 まだ生きてるけど。


(C) Copyright, 2005 NAGAO, Takahiro
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