人類以外について鈴木志郎康氏評(midnight press SNS なにぬねの?に掲載 2007年10月08日16:35)長尾高弘詩集『人類以外』を読む。pdfファイルをダウンロードして読みました。昨日半分読んで先ほど後半を読み、微笑を持って読み終えました。初老を迎えようとしている東京の郊外住まいで、都心に時々出てくる男の、日常生活で、些細なことを切っ掛けに、小爆発のように沸々とわき起こる感情を、言葉の綾で押しつぶしたところに生まれるやや苦いユーモア、というふうに読みました。「抒情詩試論」という最後に置かれた詩に、自分の詩について自問自答して、「では何かしらパブリックな意味があることを選んでいたのか、/というととてもそのようには思えない」と作者は書いているが、これらの詩のユーモアを生むための言葉の綾がパブリックな意味といえるのではないでしょうか。もっとも、現在では、言葉に置かれたプライベートな事象はパブリックになるという事態になってきていますが。そういう観点からすると、プライベートな事象の記述が、生きている姿を印象づける点で物足りないです。 |