1996ソスN7ソスソス11ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

July 1171996

 公事たくむ人の見ている雲の峰

                           作者不詳

事(くじ)は訴訟。先年、はからずも名誉毀損で訴えられ、霞が関の東京地裁へ私は何度か通った。判決は棄却でさいわい勝ったが、なにせテキはその道の猛者で、法廷でやりあったその日、たまたま都心の空に猛々しいほどの入道雲を見た、ような気がする。とはいえこの句は二百年余り前の江戸の人の作です。油断も隙もならぬ憂き世を、描いて浮世絵というがごとき句、なのですなぁ。『武玉川』第十四篇所収。(小沢信男)


July 1071996

 わだつみに物の命のくらげかな

                           高浜虚子

前にあるのはくらげだが、「物の命」によって原初の命そのものを私たちは見ることになる。先行するものとして、漱石明治二十四年の句に、「朝貌や咲いたばかりの命哉」があるが、虚子はいわば、くらげによって命の句の決定版を作ってしまった。(辻征夫)


July 0971996

 大梅雨に茫々と沼らしきもの

                           高野素十

たまま俳句の名手が、ほとんど何も見えませんねと書いているのだから、なるほど大梅雨なのだろう。最近の梅雨はしばしば根性がなく、たぶん大梅雨先輩に叱られているのではないかしらん。(清水哲男)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます