August 231996
かなかなやまっしろおばけの宿題帳
岡田葉子
子どもたちの夏休みも、あと十日。今年は九月一日が日曜日なので、一日もうかったと言う子もいるが、「まっしろおばけ」が相手ではどうにもならない。決して上手な句とは思わないけれど、読者に素朴に過去をふりかえらせてしまう力はある。この句は、平成元年の夏に発行された金子兜太編『現代俳句歳時記』(千曲秀版社)で見つけた。出た当時、さして話題にはならなかった歳時記だが、これが面白い。従来の歳時記にはなかった「雑(ぞう)」(すなわち、無季)の部があり、選句についてもこの句のような作品が採られているなど、意欲的だ。ただし、玉石混淆。思わず吹き出したのは、どんな歳時記にも麗々しく出てくる「松茸」の項目が、「茸」一般にすっぱりと格下げされていたところ。そうですよねえ。もはや「松茸」は庶民の食べ物ではなくなっているし、したがって庶民の文学の素材にはなりにくいですものね。(清水哲男)
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