ミろし句

November 23111996

 博多場所しぐれがちなる中日以後

                           下村ひろし

分の隙もない、見事な決め技だ。上下漢字四文字の間にひらがな七文字を挟んでみせるなんぞは、確実に技能賞ものだろう。技法と中身の呼吸がぴたりと合っている。そして、情緒てんめん。芸で読ませる句のサンプルといってもよいと思う。ただし、素人がうっかりこの技に手を出すと自滅する。型がきれいなだけに、負けるとみじめさは倍になる。この句でも、どこかに作者の得意顔がちらついていなくもなく、考えるほどに難しい手法ではある。(清水哲男)




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