December 081996
盲ひゆく患者の歳暮受くべきや
向野楠葉
歳暮商戦も、今週あたりがピークだろう。十日には国家公務員のボーナスも出る。師走の贈り物は江戸時代からの慣わしのようだが、この句のように受け取る側が困惑させられるケースも、多々あるにちがいない。いくら手をつくしても、患者の目が光りを失うのは時間の問題とわかっている。その患者から、はやばやと歳暮の品が届いた。とっさに「受くべきや」と自問するのだが、結局は「受ける」しかない辛さ、やりきれなさ……。職業人ならではの悲しみ。(清水哲男)
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