December 181996
烏めが何ニ寄りあふとしの暮
經善寺呂芳
昔から烏は嫌われもの。早朝から大声で鳴きたてるし、悪さはするし、色も不吉だ。この忙しい年の暮れに、毎日毎日何のために寄り合って、うるさくわめいているのか……。と、作者は烏に八つ当たりをしている。呂芳は北信濃の長沼村經善寺の住職で、彼の父も子も一茶に師事したという熱烈な一茶党。天保元年没。『七番日記』にも「寝馴れし寺」として寺の名前が出てくる。明治の初年には廃寺となり、一家は橘姓を名乗って長野市に移住したが、その後は杳として消息が途絶えてしまったという。『一茶十哲句集』所収。(清水哲男)
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