1996ソスN12ソスソス26ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

December 26121996

 数へ日のこころのはしを人通る

                           矢島渚男

ういくつねるとお正月……。こんな子供の歌のように、新しい年まであと何日と数えるから「数え日」。いよいよ押し詰まってきたと実感するころのことをいう。あれこれと年内にすませておきたい用事があり、残された日々との競争で、何から手を付けようかと思案中。そんな心のはしを、会っておかなければならぬ人の姿がひとり、またひとりと通り過ぎていく。そんなわけで、ますます焦燥感にかられることになる。『木蘭』所収。(清水哲男)


December 25121996

 へろへろとワンタンすするクリスマス

                           秋元不死男

きですねえ、こういう句は……。派手やかな「日本のクリスマス」の町の片隅のラーメン屋で、俺には七面鳥料理なんて関係ないさとばかりに、少々ぬるめのワンタンを自嘲気味にすすっている図。でも、気分が完全にすねているというのでもなく、どこかでクリスマスの豪華な料理のことが気になっている。形容矛盾かもしれないが、剽軽な哀感とでもいうしかない心境を感じる。翻訳不可能な名句である。(清水哲男)


December 24121996

 聖菓切るキリストのこと何も知らず

                           山口波津女

とんどの日本人は、この句のようにふるまっている。宗教をムード的にとらえ、聖なる日を娯楽化してしまう国民的規模のセンスとはいかなるものなのであろうか。したたかなのか、単にお調子者なのか。かくいう私ももとより例外ではないけれど、とにかく不思議という以外にはない。小学校の低学年だった昭和二十年代前半には、私も友達もキリストやサンタクロースという名前すら知らなかった。まだあちこちの家には、煙突があった時代である。(清水哲男)




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