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December 27121996

 真顔して御用納の昼の酒

                           沢木欣一

用納め、仕事納めの日には、ほとんど仕事らしい仕事はない。出勤して机の上などをきれいにしているうちに、半日が経ってしまう。昼ごろになると、部署ごとに全員が集まり、エラい人が年末の挨拶をして乾杯の運びとなる。宴会ではないから、みな「真顔」だ。そして半刻もすると三々五々退出していくのだが、なかに「真顔」の酒に火をつけられた何人かで、これから街に繰り出そうという相談がまとまったりする。サラリーマン時代の私は、常に後者であった。(清水哲男)


December 26121996

 数へ日のこころのはしを人通る

                           矢島渚男

ういくつねるとお正月……。こんな子供の歌のように、新しい年まであと何日と数えるから「数え日」。いよいよ押し詰まってきたと実感するころのことをいう。あれこれと年内にすませておきたい用事があり、残された日々との競争で、何から手を付けようかと思案中。そんな心のはしを、会っておかなければならぬ人の姿がひとり、またひとりと通り過ぎていく。そんなわけで、ますます焦燥感にかられることになる。『木蘭』所収。(清水哲男)


December 25121996

 へろへろとワンタンすするクリスマス

                           秋元不死男

きですねえ、こういう句は……。派手やかな「日本のクリスマス」の町の片隅のラーメン屋で、俺には七面鳥料理なんて関係ないさとばかりに、少々ぬるめのワンタンを自嘲気味にすすっている図。でも、気分が完全にすねているというのでもなく、どこかでクリスマスの豪華な料理のことが気になっている。形容矛盾かもしれないが、剽軽な哀感とでもいうしかない心境を感じる。翻訳不可能な名句である。(清水哲男)




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