April 071997
女拗ねて先に戻りし桜狩
潮原みつる
桜狩(花見)といっても、楽しいことばかりが待ち受けているわけではない。「花疲れ」という季語もあるように、けっこう疲れるものだから、些細なことで口喧嘩になったりする。「だから気がすすまないって言ったでしょ。やっぱり来るんじゃなかったわ」と、連れが拗(す)ねて帰ってしまったという図。せっかくの花見がぶちこわしで、作者はどっと疲れてしまう。女の短慮だとは思うけれど、人間関係とはまことに難しいものだとも思い知らされた。ところで、帰ってしまう直前の女性の気持ちはどうだったかというと「花疲れ人に合せて笑顔して」(清水美登)というところか……。こんなふうに、いろいろなドラマを生んだであろう今年の桜花も、関東では終りに近い。(清水哲男)
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