July 041997
娘と通ふ料理教室鮎を焼く
佐藤恵美子
何の技巧もない、そのまんまの句。でも、とても字面がよい。日本語の美しさを感じさせられる。同時に、女性の「そのまんま」が、いかに男のそれと遠い世界にあるかということも……。たいがいの母娘が仲がよいのは、このように具体的現実的な行動において、素直に協調できるからなのだろう。そこへいくと、男はいけない。親子関係にも、一理屈かませないと安心できない性分がある。下手に焼かれた鮎のように、本質的にはうじうじと生臭いのである。『あぶら菜』所収。(清水哲男)
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