1997ソスN8ソスソス8ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

August 0881997

 星合の宿のはじめは寝圧しかな

                           加藤郁乎

合(ほしあい)は、牽牛と織女の二つの星が出合うこと。すなわち、七夕のことを言う。こんな風流な日に、作者は一人旅である。で、浴衣に着替えて旅館で最初にすることが、ズボンの寝押しの準備というのだから、不風流きわまりない。思わずも力なく「へへへ」と笑ってしまったという図。こうなったら、七夕もへちまもあるものか。今夜は一杯やって、早いとこ寝ちまおう……。『江戸櫻』所収。(清水哲男)


August 0781997

 夜の蝉人の世どこかくひちがふ

                           成瀬櫻桃子

たま、夜に鳴く蝉がいる。虫ではあるが、一種の人間的な狂気を感じて恐くなったりする。自然の秩序から外れて鳴くそんな蝉の声を耳にして、作者は、ともすれば人の世の秩序から外れてしまいそうな我が身をいぶかしく思うのである。いかに努力を傾注してみても、くいちがいは必ず起きてきたし、これからも起きるだろう。みずからもまた、夜鳴く蝉にならないという保証はないのだ。何が、どこでどうなっているのか。突き詰めた詠み方ではないだけに、かえって悲哀の感情が滲み出てくる。『成瀬櫻桃子句集』(ふらんす堂・現代俳句文庫)所収。(清水哲男)


August 0681997

 広島の忌や浮袋砂まみれ

                           西東三鬼

祷。すべての理不尽な戦争によるすべての犠牲者の無念の魂に。(清水哲男)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます