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July 2071998

 地図の上に子らと顔よせ夏休

                           上野巨水

あ夏休みだ、今年はどこへ行こうか。こんなふうに、夏休みと旅行とが結びつくようになったのは何時ごろからだったろう。「余暇の活用」などと言われはじめたのが三十数年ほど前。気運としてはそのころからあったのだろうが、実際にはここ四半世紀のことと思われる。戦前は知らないが、私の若いころには「夏は、どちらへ」という挨拶はなかった。旅があるとすれば、盆などで故郷に帰ることくらいだった。この句の発表年代は不明〔平井照敏編『新歳時記』所載〕だが、おそらくは四半世紀前くらいだろうと推定できる。つまり、こうした親子の情景が新鮮であった時代ということだ。当時は、この句を読んで羨ましくも微笑ましいと感じた読者が多数いたにちがいない。逆にトーンは抑えてあるが、作者の得意を思うべし。この句が昨日今日作られたものだったら、平凡すぎて話にもならない。まことに「歌は世につれ」るものである。そんな理屈はともかく、夏休みがはじまった。この、はじまったと思うときがいちばん楽しい。願わくば、ずうっと楽しい夏休みでありますように。(清水哲男)




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