April 041999
鴬の茶畠に鳴く四月かな
船 山
まことにもって呑気な句だ。楽しい句だ。ついでに言わせてもらえば、トルネード的に下手な句(笑)でもある。しかし、こんな句がひょいと出てくるから、俳句を読むのは止められない。茶摘み前の茶畠の近くで、鴬がきれいな声で鳴いている。歩いていても眠くなるような、そんな午後のひとときの光景だ。学生時代に、茶どころの宇治で下宿住まいをしたことがあるので、この雰囲気は日常のものだった。ただ、こんな句の良さなどは絶対に認めようとしない「俳句好き」にして、かつ生意気な政治青年であった。だから、いまさらのように、こういう句を面白いと思うようになった自分にびっくりしてもいる。この句は、電話機の横にメモを取るために置いてある「デスク・ダイアリー」の欄外に印刷されていた。昔は、どんな事務所にも置いてあったバインダー式の日めくりカレンダーである。今日が旧暦の何日であるとか、思わずも顔が赤くなるような格言であるとかが、とにかくごちゃごちゃと書いてあるのだけれど、あれらを毎日ちゃんと読む人はいるのだろうか。私は、たまにしか読まない。(清水哲男)
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