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December 20121999

 親も子も酔へばねる気よ卵酒

                           炭 太祇

つあつを飲むから、汗が出る。したがって、昔から風邪の熱さましとして愛飲されてきた。作者は江戸期の人。アルコール分が少ないので、子供でも飲めるのが卵酒(玉子酒)だ。家族みんなで楽しめる。家の誰かが風邪を引くと、さっそく玉子酒を作り、みんなでお相伴にあずかるというわけだ。風邪引きも、また楽し……かな。とはいえ、やはり酒は酒だ。飲むうちに、いい心持ちになってくる。寝るには早い時間だが、ままよ、眠くなったら寝ちまおうぜと、親子揃っての暢気な気分がまた心地よい。ところで、あなたは玉子酒を作ったことがありますか。講談社から出たばかりの『新日本大歳時記・冬』を見ていたら、林徹氏がレシピ付きの解説を書いていたのでお裾分け。「一合の日本酒に砂糖大さじ三杯を加えて煮立て、酒が沸いてアルコール分が十分蒸発したとき、マッチの火でアルコール分を燃やしきり、これに卵黄をそそいでよく掻き回し、煮詰まらないうちに飲む」のである。お試しください。ただし、パソコンの無料ソフトと同様に、この作り方を実行して、いかなる事態があなたやあなたの家族に起ころうとも、当方は一切責任を負いかねますのでご了承を(笑)。(清水哲男)


November 27112015

 城近き茶店の池の浮寝鳥

                           同前悠久子

光や散歩で人々が訪れる名所旧跡に茶店はつきものである。そしてお堀とか池とか噴水など水が風景を飾る。その水の風景のアクセントとなって様々な鳥たちが人々の目を楽しませている。どんな鳥か暫く観察する。白鳥、鴨、鳰、鴛鴦などを発見。秋に渡って来てここで越冬し春には帰っていくものもいれば、ここに居着いた鳥も居る。水に潜ったり翼に嘴をさし入れたり様々な姿態で点在している。水上に浮かんで寝ているものが居る、浮き寝鳥という。鴨ならば浮き寝鴨とでもいうところ。一杯の珈琲の寛ぎタイムも流れさって、人間はそれぞれの持ち場に帰ってゆく。鳥たちはのんびりと眠り続ける。他に<花枇杷を待つ日々は佳し恋に似て><足元にかすかに揺るる黄千両><玉子酒ふと作りたしひとり居の>などあり。俳誌「ににん」(2015年冬号)所載。(藤嶋 務)




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