お笑いタレントのキャンプ取材拒否と巨人。何を言ってるか。それでなくとも巨人は陰気なのに。




2000ソスN1ソスソス27ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

January 2712000

 狐着て狸のごとく待ちをりぬ

                           岡田史乃

も狸も冬の季語。句の場合は、表に現れているのが狐であり、狸は心理的な産物なので、いわゆる季重なりではないと見たい。当歳時記では「襟巻」に分類した。さて、作者は狐の襟巻きをして、人を待っている。でも、待っている心持ちは狸のようだと言うのである。狐は人を「化かし」、狸は自分で「化ける」。だから、作者の気分は、これから会う人を「化かす」というのではなくて、「化けて」待っているというわけだ。めったにしない狐の襟巻きなので、自然にそんな気持ちになっている。心理的にもそうだし、首筋や肩のあたりの触感も、狸みたいな気分に加わっている。「くくっ」と一人笑いももれているようだ。最近は、とんと狐の襟巻き姿にお目にかからない。持っている人はあっても、動物愛護団体などの目が気になって、着て歩く勇気が出ないこともあるのだろうか。それとも、もうファッションとして時代遅れということなのか。面白いもので、そんな襟巻き姿の女性を見かけると、必ず反射的に、狐とご当人の顔とを見比べたものだった。見比べて、べつに何を思うというのではなく、同じ場所に顔が二つあることへの、軽いショックからだったのだろう。我が家にも、母の狐があった。しかし、母がして出かける姿を一度も見たことはない。そんなご時世じゃなかった。蛇足ながら「狐の手袋」はジキタリスの別称。『ぽつぺん』(1998)所収。(清水哲男)


January 2612000

 刀剣の切っ先ならぶ弱暖房

                           川嶋隆史

く感じられる「名刀展」の会場だ。なぜ「弱暖房」なのか。わかる人にはわかる句だが、ただし、わかる人には逆に面白くない句かもしれない。もちろん、ここに掲載したのにはワケがある。作者は、ほぼ私と同年齢のようだ。同世代の人が「刀剣」に関心を抱き、句にまで仕立て上げたことに、それこそ私の関心が動いたからである。恥を話せば、私は京都の大学で美学美術史を専攻し、貴重な刀剣をヤマほど見る機会があったにもかかわらず、怠惰にやり過ごしていた学生であった。実際に刀剣に触れたのは、たった一度きり。それも、遊びに行った後輩の実家でだった。彼は何振りも切っ先を揃えるかたちで抜いて見せてくれ、「触ってみてください。でも、息を吹きかけないようにお願いします」と言った。すなわち、それだけ微妙な反応をする刃物なのである。したがって「弱暖房」にも、うなずいていただけるだろう。息を詰めて持たせてもらった第一印象は、とにかく重いということであり、しかし、手にした刀身をじっと見つめていると、吸い寄せられるような霊気を感じたことも覚えている。世に名刀妖刀の類は多いようだが、あれは手に持ってみてはじめて真価がわかるというものだ。……と、そのときから信じ込んでいる。偶然にこの句に触れたことで、そんなことを思い出した。作者も、きっと手にしたことのある人だろう。句は、言外にそのことを言おうとしているのだと思った。俳誌「朱夏」(28号・1999年12月)所載。(清水哲男)


January 2512000

 鬱としてはしかの家に雪だるま

                           辻田克巳

びに出られない子供のために、家人が作ってやったのだろう。はしかの子の家には友だちも来ないから、庭も静まりかえっている。家の窓からは、高熱の子がじいっと雪だるまを眺めている。なんだか、雪だるまの表情までが鬱々(うつうつ)としているようだ。雪だるまには明るい句が多いので、この句は異色と言ってよい。どんな歳時記にも載っているのが、松本たかしの「雪だるま星のおしゃべりぺちゃくちゃと」だ。「星のおしゃべり」という発想は、どこか西欧風のメルヘンの世界を思わせる。したがって、この場合の雪だるまは「スノーマン」のほうが似合うと思う。スヌーピーの漫画なんかに出てくる、あの鼻にニンジンを使った雪人形だ。よりリアルにというのが彼の地の発想だから、よくは知らないが、日本のように団子を二つ重ねた形状のものは作られないようだ。どうかすると、マフラーまで巻いたりしている。こんなところにも、文化の違いが出ていて面白い(外国にお住まいの読者で、もし日本的な雪だるまを見かけられたら、お知らせください)。雪だるまの名称は、もちろん達磨大師の座禅姿によっている。だから、堅いことを言えば、ホウキなどの手をつけるのは邪道だ。それだと、修業の足りない「達磨さん」になってしまうから。(清水哲男)




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