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May 0452000

 酒置いて畳はなやぐ卯月かな

                           林 徹

月は、ご存知のように陰暦四月の異名。卯の花の咲く月という意味で、初夏の月。今年は、本日から卯月がはじまった。何かの会合での情景だろう。句会だとしても、よさそうだ。いずれにしても、これから真面目な集いが開かれようとしている部屋の隅の畳の上に、参加者の誰かが持参した酒瓶がそっと置かれた。もちろん、会が終わったらみんなで楽しく飲もうというわけだ。それでなくとも開け放った窓からは心地よい外気が流れ込んできているのだし、ひとりでに心はずむ感じがしてくる。だから、このときをつかまえる表現としては、座の全体がはなやいだと言うよりも、やはり作者の心をひそかに反映しているかのような「畳はなやぐ」でなければならない。酒飲みにしか理解されない句かもしれないけれど、実に飲み助の心理的なツボを心得た、まことにニクい一句と言うべきか。今日あたりは、日本中のあちこちで「畳はなやぐ」集いが開かれることだろう。ちなみに「卯月」はまた「花残月(はなのこりづき)」とも呼ばれてきた。北海道などのソメイヨシノは、この季節に花開くからである。『新日本大歳時記・夏』(2000・講談社)所載。(清水哲男)




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