21世紀の「KAMIKAZE」は非戦闘員を凶器に使った。恐るべき冷徹さで練り上げられたプロジェクト。




2001蟷エ9譛12譌・縺ョ句(前日までの二句を含む)

September 1292001

 江戸の空東京の空秋刀魚買ふ

                           摂津幸彦

風一過の(か、どうかは知らねども)抜けるような青空が広がっている。この空は、江戸も東京も同じだ。とても気分がよいので、今夜は「秋刀魚(さんま)」にしようと買い求めた。江戸の人も、青空の下で自分と同じような気分で買っていたにちがいない。時代を越えて、この空が昔と同じであるように、昔の人と気持ちがつながった思いを詠んでいる。威勢のよさのある魚だから、江戸っ子気質にも通じている。ところで、江戸期に秋刀魚は「下品(げぼん)」とされていたようだ。つまり、下等な魚だと。例の馬琴の『俳諧歳時記栞草』を調べてみたが、載っていなかった。となれば、「秋刀魚」はごく新しい季語ということになる。あまりにも安価でポピュラーすぎた魚だからだろうか。そりゃまあ、鯛(たい)なんかと比べれば、ひどく脂ぎっているので上品な味とは言えない。そういえば落語の『目黒の秋刀魚』の殿様の食前にも、蒸して脂を抜き上品に調理した(つもりの)ものが出ていたのだった。さぞや不味かったろう。だから「秋刀魚は目黒に限る」が効いている。掲句とは無関係だが、「秋刀魚」の句を探しているうちに、こんな句に出会った。「花嫁はサンマの饅のごときもの」(渡辺誠一郎)。「饅」は酢味噌で食べる「ぬた」。ずいぶん考えてみたが、さっぱりわからない。悔しいけど、お手上げです。どなたか、解説していただけませんでしょうか。両句とも『新日本大歳時記・秋』(1999)所載。(清水哲男)


September 1192001

 秋の夜の時計に時計合せ寝る

                           波多野爽波

日の朝は、早く起床しなければならない。そこで、目覚まし時計をセットしたのだろう。ラジオなどの時報に合わせるのではなく、室内の掛け時計に合わせた。いつも見慣れている掛け時計だから、少し進み気味だとか遅れ気味だとかを熟知しているので、そのあたりの誤差を計算して慎重に合わせたのだ。それでも正しくセットされたかどうかが気になり、何度も確かめている。思い当たる読者も多いだろう。では、なぜ「秋の夜」なのだろうか。時計を合わせることと季節とは、本来無関係である。必然性は、こういうことだろう。秋に入ると日の出がどんどん遅くなるので、まだ夏の日の出感覚から抜けきれない身には、そこが心配になる。夏だと窓が明るくなっても「まだこんな時間か」と、もう一寝入りできたのだが、その感覚で秋の時刻をとらえると間違ってしまう。それに、秋は熱帯夜もないので、ぐっすりと眠れる。そんな要素が重なって、寝過ごしやすいのが秋という季節。だからこそ、時計を慎重の上にも慎重に合わせたというわけだ。かつて早朝のラジオ番組を担当していたころには、私は毎晩三つの目覚まし時計をセットして寝ていた。手巻きで動く時計と電池式のものと、そしてもう一つはAC電源で動くものと。もしも、これらが偶然に全部故障したら、こいつはもう「どうにもならねえや」という心持ち。でも、やっぱり心配は心配だった。『舗道の花』(1956)所収。(清水哲男)


September 1092001

 一米四方もあれば虫の村

                           五味 靖

んだとたんに「なるほどね」と膝を打った。虫の音や姿を詠むのは、人間のいわば手前勝手な営みだが、虫同士の生活の場に思いをいたすのは、その反対だ。小さな虫たちが、それもたったの「一米四方」で村落を形成していると想像することで、鳴き声や姿の受け取りようも、ずいぶんと変わってくるではないか。私に虫のテリトリーの知識は皆無だけれど、この小さな「村」から生涯出ていかない(いけない)虫もいるのだろう。逆に、村から村へと渡り歩く気ままな流れ者もいそうである。戦いもあれば、災害もあるだろう。あれこれそんなことを考えていると、小さな虫たちに一入(ひとしお)いとしい気持ちがわいてくる。作者は、とても優しい人なのだろうなとも思う。そして小さな「村」があるからには、それらが寄り集まった「国」も存在する理屈だ。同じ句集に「寝落つとは虫の国へと入りしこと」があり、この句にもまた「なるほどね」と、作者の独特な資質を感じた。虫の音を聞いているうちに、いつしか「寝落」ちてしまった。考えてみれば「寝る」とは自然の摂理に同化することであり、人為的な「国」やら文化文明の類いとは切れてしまうことだ。このときに、人間も虫もが同じ「国」に生きるのである。なお、両句とも季語は「虫」で秋季。『武蔵』(2001)所収。(清水哲男)




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