「スト権の行使については慎重な対応を」とプロ野球経営側。まずは君らこそ慎重にね。




2004ソスN8ソスソス24ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

August 2482004

 真夏昼猫がころがすカタン糸

                           二村典子

はもちろん、草木までもが暑さにげんなりとしている「夏真昼」。こういうときにはイの一番に昼寝をきめこんでしまうはずの「猫」が、どうした弾みか、「カタン糸」の糸巻きにじゃれついている。この気まぐれの生気は、かえって作者を鬱陶しくさせているようだ。それにしても、おお ! 懐かしやカタン糸。何十年も目にしなかった言葉だ。私の子供時代には誰でも知っていたカタン糸だが、いつの頃からかまったく目にも耳にもしなくなってしまった。しかし、カタン糸そのものが無くなってしまったわけじゃない。現在でも多少あるにはあるが、大半が工業用として生きているのであり、家庭からはほとんど姿を消してしまった。カタン糸とは何か。カタンは英語のCOTTONが訛ったもので、木綿単糸を数本縒(よ)り合わせたものである。レース編みなどに用いる太手の木綿糸のことを指す場合もあるけれど、普通にはミシン用の縫い糸として用いる細手の木綿糸のことを言う。縒りが強く、糊や蝋で処理してあり、光沢がある。いまはミシンの無い家庭が多いし、あっても滅多に使わなくなった時代だから、カタン糸という言葉も一般的ではなくなってしまった。したがって、子供がカブトムシにミシンの糸巻きを引かせて遊ぶなんてことも、まずないだろう。カタン糸、この言葉を思い出させてくれただけでも、掲句に感謝したい。「俳句」(2004年9月号)所載。(清水哲男)


August 2382004

 鮒ずしや食はず嫌ひの季語いくつ

                           鷹羽狩行

語は「すし(鮓・鮨)」で、暑い時期の保存食として工夫されたことから夏とする。「寿司」とも表記するが、縁起の良い当て字だ。句は「彦根十五句」のうち。蕪村に「鮒鮓や彦根の城に雲かかる」があるように、昔から「鮒ずし」は滋賀の郷土料理として有名である。作者は鮒ずしを「食はず嫌ひ」で通してきたのだが、彦根への旅ではじめて口にしてみて、意外な美味を感じたのだろう。誰にも、こういうことはたまに起きることがある。納豆の食わず嫌いが、ひとたび口にするや、たちまち納豆好きになった人を知っている。そこで作者は、ふと連想したのだ。季語についても、一般的に同じことが言えるのではあるまいか。少なくとも自分には「食はず嫌ひ」の季語があって、それも数えてみたわけではないけれど、けっこうありそうだ、と。「季語いくつ」は自分への問いかけであると同時に、読者へのそれでもある。言われてみれば、誰にもそんな季語のいくつかはあるに違いない。私どもの句会(余白句会)で、谷川俊太郎が「『風光る』って恥ずかしくなるような季語だよね」と言ったのを覚えているが、これなども食わず嫌いに入りそうだ。いや他人事ではなくて、私にもそんな季語がある。これからの季節で言うと、たとえば「秋の声」だなんてそれこそ気恥ずかしくて使えない。若い頃に物の本で「心で感じ取る自然の声」などという解説を読んだ途端に、とても自分の柄じゃないと思ったからだ。ところで、読者諸兄姉の場合は如何でしょうか。俳誌「狩」(2004年9月号)所載。(清水哲男)


August 2282004

 釣堀が見え駅に立つ人が見え

                           宮津昭彦

語は「釣堀(つりぼり)」で夏。句の「駅」は東京JR市ヶ谷駅、「釣堀」は市ヶ谷駅下のそれと特定できる。「市ヶ谷フィッシングセンター」という名称だ。休日ならばともかく、天気の良い日だとウィークデイでも釣り糸を垂れる人でにぎわっている。リタイアしたらしき高齢者が多いかというと、さにあらず。けっこう若い人も釣っているから、いったい彼らはどんな身分の人々なのだろうかと訝ってしまう。片や駅のホームには、鞄を抱えた忙しそうなサラリーマンたちの姿があるので、余計に釣堀の人たちが目立つのである。句はこのような情景を見たままスナップ的に詠んでいて、ふっと微笑を誘われる。編集者時代には印刷所に行くのにこの駅をよく利用したので、通るたびに一度でいいから真っ昼間に呑気に釣ってみたいものだと思っていたが、ついに果たせなかった。仕事をサボって釣るには、あまりにも目立ちすぎる場所なのだ。何人かの東京に長い友人に聞いてみたが、そう思ったことはあっても、誰も行ったことがないという。ネットで調べてみたら、次のようにあった。「JR市ヶ谷駅を降りると目の前に広がる、のどかな釣堀。貸し竿は100円、エサ代80円と低料金で道具が揃うので手ぶらで遊びに行ける。50cm以上もある大物のコイを狙うもよし、「ミニフィッシング」で金魚釣りを楽しむもよし。また釣れた魚は1時間につき1尾持ち帰ることができる」。「俳句研究」(2004年9月号)所載。(清水哲男)




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