どんな仕組みかなとダウンロードしたゲームにはまってしまった。大変だ、削除せねば。




2004ソスN11ソスソス25ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

November 25112004

 掃除機の捌き見事や足袋の足

                           泉田秋硯

語は「足袋」で冬。まずは和服姿の女性像が浮かんでくる。いまどきの家庭では、和服姿で掃除をする女性はいないだろうから、自宅ではなく、どこか出先での光景だろう。催し物会場の後片付けだとか、和風旅館の掃除だとか……。見るともなく見ていると、実に彼女の手際が良い。掃除機を自在に扱っている。それを「足袋の足」、つまり彼女の足さばきに集約して詠んだところが面白い。俳句ならではの言い止め方である。畳箒で掃いていた時代には、かなり掃き方の巧拙の差は目立ったものだが、なるほど「掃除機」のさばき方にも巧拙はある。私が下手なので、とてもよくわかる。どうしても箒時代の「四角い部屋を丸く掃く」みたいになってしまう。べつに手を抜いているわけじゃないのに、なんだか自然にそうなってしまうのだ。逆に、上手い人は子供のころから上手い。箒や掃除機に限らず、そういう人はどんな道具を扱わせても上手いのだ。人馬一体ならぬ人具一体とでも言うべきか。持って生まれた才能がそうさせるのだとしか、思いようがない。私などが日常的に悲観するのは、たとえば駅の券売機にコインを投入するときも、たいてい隣りの人よりももたもたしてしまうようなことだ。あんなものの扱いにだって、ちゃんと巧拙はあるのである。やれやれ、である。『月に逢ふ』(2001)所収。(清水哲男)


November 24112004

 寝酒おき襖をかたくしめて去る

                           篠田悌二郎

語は「寝酒」で冬。元来は寒くて眠れない夜に、酒で身体を暖め、酔いの力を借りて眠ったことから冬の季語とした。が、いまでは季節を問わず、習慣としての寝酒が必要な人も多いだろう。冬の夜、いつものように妻が寝酒を用意してくれ、いつものように書斎(でしょうね)に置いていった。で、「襖をかたくしめて去る」というのだが、ここが実はいつもとは違うのである。好人物の読者であれば、隙間風が入らないようにいつもの夜よりも「かたく」しめたと受け取るかもしれない。でも、妻の行為として「去る」の措辞ははいかにも不自然だ。二人の間に何があったかは知らないけれど、句は一種の神経戦の様相を描いたようにうかがえる。いつもの妻のつとめとして、寝酒だけは用意する。しかし、それはあくまでも義務を果たすというだけのことで、言葉ひとつかけるわけでもなく、完全によそよそしい態度なのだ。よそよそしくも念入りに、無言のまま襖を「かたく」しめるという意地の悪さ(としか思えない)。それでなくとも寒い夜が、作者には心底冷え冷えと感じられたことだろう。たとえ神経戦の中味は、作者の非が原因であろうとも、こうした陰湿なふるまいに、たいていの男はまいってしまう。むろん私にも同種の覚えがあることなので、こう読んでしまったわけだ。たぶん、正解だと思いますよ。『新歳時記・冬』(1989・河出文庫)所載。(清水哲男)


November 23112004

 黄落や寮歌でおくる葬あり

                           大森 藍

語は「黄落(こうらく)」で秋。銀杏などの葉が黄ばんで落ちること。東京辺りではこれからだが、もうはじまっている地方もあるだろう。黄落がはじまると、いよいよ寒くなってくる。作者は葬儀に列席したのか、あるいは偶然に見かけたのだろうか。いずれにしても、ありそうでいて、なかなかな無い「葬」(「とむらい」と読むのかしらん)風景ではある。故人は、おそらくかつての旧制高校で青春期をおくった人なのだ。当時の寮の仲間数人が参列していて、出棺のときに誰かひとりが歌いだすと、あとの何人かも唱和して歌いだした。若い作者にははじめて聞く歌なのだが、歌う高齢の男たちの様子から彼らの遠い青春時代が思われて、心がしいんとなった。帰らざる青春……。そんな言葉も、胸をよぎる。折りから、黄色くなった木々の葉もほろほろと柩に降りかかっている。人は必ず死ぬ。そんな思いをあらためて確認するのは、こういうときだろう。寮歌といえば、私は学友であり詩友であった佃学から叩き込まれた。彼が若くして死んだときに、私は声にこそ出せなかったけれど、通夜の席の胸の内で歌ったことを思い出す。彼が愛していた五高寮歌だ。「武夫原頭(ぶふげんとう)に草萌えて/花の香(か)甘く夢に入り/竜田の山に秋逝いて/雁が音遠き月影に/高く聳ゆる三寮の歴史やうつる十余年」と、この世界は詩人・佃学の初期の抒情詩にとてもよく似ている。『遠くに馬』(2004)所収。(清水哲男)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます