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January 1012005

 十日戎所詮われらは食ひ倒れ

                           岡本圭岳

日は「十日戎(とおかえびす)」。新年初の戎祭を言う。東京あたりの酉の市に対して、関西以西での商売繁盛を祈る祭りと言ってよいだろう。大阪の今宮戎神社や京都の恵美須神社、福岡の十日恵比寿神社などが有名だそうだ。が、私は学生時代に京都に住んだが、実はこの祭りのことは何も知らない。福笹を持った人を見かけた記憶も無い。最近の宵祭りには烏丸通でパレードもあると聞くが、四十数年前にはそんな派手なこともなかったせいではあるまいか。したがって耳学問程度の知識しかないのだけれど、「えべっさん」は福の神だからあやかりに行くわけだ。しかし耳が遠いとされているので、社前と社殿のうしろで二度拝む風習がある。一度だけだと聞こえなかったかもしれず、もう一度「わかってはりまんなア、商売繁盛でっせ」と大声で念を押すのだという。それから福娘に授かった福笹をかつぎ、それに沿道で売っている小判などの縁起物(吉兆)を買い求めて吊るしては、そぞろ歩くという寸法だ。句は、そんな人混みの中での即吟だろう。すなわち、こうやって熱心にお参りしていくら稼いでも「所詮われらは食ひ倒れ」、いずれはまたすっからかんさというわけだ。一見自嘲的にも読めるが、そうではあるまい。江戸っ子が「宵越しの銭は持たねえ」と言うのといっしょで、大いに浪速っ子気質を自慢しているのである。一度は行ってみたいお祭りの一つだ。『新歳時記・新年』(1990・河出文庫)所載。(清水哲男)




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