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November 04112005

 花芒金井克子の無表情

                           秋 尾

語は「(花)芒」で秋。芸能人を詠み込むのは難しいと思う。当人を知らない読者にはむろんわからないし、知っていてもそれぞれに印象が異なる場合も多いからだ。が、掲句は読んだ途端に、金井克子を知らない人には申し訳ないが、私はドンピシャリだと思った。この句、実は会員制の某掲示板に、昨日の午後書き込まれたものである。したがって、作者はあまり公にしたくないのかもしれないが、しかし良いと思った句は委細構わずに紹介するというのが、当歳時記の方針です。どこが良いって、花芒のすらりとしたたたずまいを金井克子のそれに通わせ、しかも花とはいえ、花そのものには何の愛想も無いところを、彼女の無表情に似ていると捉えたところだ。漢字表記を並べたところにも、その雰囲気が良く出ている。「はなすすき」では駄目なのだ。金井克子は十代でバレーのプリマドンナとしてデビューした人だから、顔の表情よりも全身での表現を体得しているはずである。つまり、テレビよりも舞台のほうを得意とする人だ。句の「無表情」は、テレビから受けた印象に違いなく、以前私も見ていて、しばしばその無表情にはヤキモキさせられたものだった。でも、彼女の無表情はどこか魅力的で、後を引く感じがあったのは、多く他の共演者が表情作りに懸命になっていたせいだろう。その落差が強い印象を残すところは、媚を売るなど知らぬげにそっけなく立っている花芒の魅力に通じている。そうだったのか、金井克子は植物にたとえれば花芒だったのか。と、作者のインスピレーションに感じ入ってしまった。掲句に触発されて調べてみたら、彼女も今年で還暦である。そしていまも、元気に舞台はつづけているそうだ。(清水哲男)




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