阪神ヤクルトに連勝するも、どうもピリッとしない。連休明けまで5割キープを。(哲




2007ソスN4ソスソス26ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

April 2642007

 目刺焼くええんとちゃうかでたらめも

                           児玉硝子

年中ある目刺だけど、春の季語である。春鰯は脂がのっておいしいからと勝手に決めていたが、本当のところはどうなんだろう。掲句は炉辺焼きか、一杯飲み屋か、家庭の風景でもいい。目刺を焼きながら相談ごとを聞いていたおかみさんが、「ええんとちゃうかでたらめも」と、慰めとも解決ともわからないおおらかな言い回しで話を締めくくる場面が思われる。カドの立たない収め方がいかにも大阪といった感じ。目刺を焼く情景と時間が、句にほどよい実感を与えている。口語の文体は親しみ易さ敷居の低さが魅力であるが、話し言葉がすぐ俳句持ち込めるわけではない。日常の言葉を俳句に生かすならそこからある場面や情感を喚起させる力がないとつぶやきに終ってしまう。俳句は時代時代の言葉を取り入れることで詩型に生命を吹き込んできた。口語、特に方言の独特の言い回しに幾重もの連想をたたみこんだ季語を連結することで、斬新なイメージを作り出すことが出来るのではないだろうか。その土地に根付いたニュアンスをどう受けとめるか。9日の「はんなりといけずな言葉春日傘」(朝日彩湖)で清水哲男さんの鑑賞文に「方言句は難しいが面白い」と、あったが本当にその通りだとおもう。各地のお国言葉で書かれた俳句がその土地特有の習慣、食べ物、植物などとともに編纂されれば、俳句を読む楽しみも広がるだろう。『青葉同心』(2004)所収。(三宅やよい)


April 2542007

 灯台は立たされ坊主春の富士

                           小林恭二

句評論で活躍している小林恭二に、『春歌』という一冊の尋常ならざる句集がある。「初期句集」と記され、九十三句を収めた句集らしくない趣きの句集。加藤裕将の楽しい挿絵多数。あとがきに「大学二年で俳句を始め、卒業と同時に本格的な句作から手をひきました」とある(在学中は「東大学生俳句会」の一員だった)が、時どき彼の俳句を目にすることがある。中学校時代に「立たされ坊主」をよく経験した者(私)にも、ほほえましく享受できる句である。近くに灯台があり、遠方に富士山が見えていると解釈すれば、ゆるやかな春の光と風のなかに突っ立っている灯台と、彼方にモッコリと立っている(聳えているのではない)富士山とのとり合わせが、いかにも駘蕩としていて、対比的で好ましいのどかな風景になっている。灯台を富士山に重ねる解釈も成り立つだろうけれど、ここはやはり両者が同時に見えているワイド・スクリーンとしてとらえたほうが、春らしい大きな句姿となる。さらに穿った解釈が許されるならば、作者は「東大は立たされ坊主」というアイロニーを裏に忍ばせているのかもしれない。小林恭二は「俳句研究」に毎号「恭二歳時記」を五年間にわたって連載中だが、同誌四月号のインタビューで「(句作を)毎日やっていればまた別なのかもしれませんけれども、二年とか三年に二句詠む、三句詠むなんて、もう面倒臭くて」と答え、実作者としての目は「限りなくゼロに近い」と述懐している。句集には「昼寝覚マッチの頭燃え狂ふ」「ひねくれば動く電気仕掛の俳句かな」などがある。『春歌』(1991)所収。(八木忠栄)


April 2442007

 リラ冷やガラスの船にガラスの帆

                           大西比呂

ラ(lilas)はフランス語。「ライラック」、ましてや「紫はしどい」より優美な雰囲気が強まる。モクセイ科なので、よく見ると四弁の花の形は金木犀に似ているが、もっと大ぶりで優しい大陸的な甘い香りの花である。この花が咲く頃のふいの寒さを「リラ冷え」と呼ぶ。春はあたたかい日差しをじゅうぶんに感じさせたあとにも、驚くほど冷たい一日があったりする。「リラ冷え」は、昭和35年北海道の俳人榛谷美枝子(はんがいみえこ)氏の俳句から誕生し、昭和46年に渡辺淳一の『リラ冷えの街』で定着したというから、わりあい新しい季語だろう。どちらかというと迷惑な陽気だが、しかし語感の花の名の異国情緒もあいまって、どこか甘美なイメージが漂う。掲句はさらに華奢なガラスの帆船を取り合わせたことで、まるでそんな日にはガラスの船が昼の月へと船出するようなファンタジーがふくらむ。幼い頃、実家の玄関には大きなガラスの帆船があった。慌ただしい小学生だったわたしは、ある日洋服の袖に舳先を引っかけ、粉々にしてしまう。夕方、わたしと弟が父親に呼ばれ、「嘘をついている眼は見ればわかる」と並べられた。度胸のよい姉と、臆病な弟の理不尽な顛末は省略するが、ちくりと胸を刺すさまざまな過去の過ちなども引き連れ、ガラスの船はリラの香りの風をいっぱいにはらませ出帆する。『ガラスの船』(2007)所収。(土肥あき子)




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