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May 1552008

 孔雀来て羽をひろげる緑雨かな

                           須田保子

者の目の前にやってきた孔雀がそれまで閉じていた羽を大きく広げる。豪華なその羽を背景として今まで気づかなかった細かい雨が作者の目にはっきりと見えたのだろうか。茂り始めた緑を滴らすような「緑雨」と孔雀との取り合わせがエキゾチックな雰囲気を醸ししている。広辞苑によるとインド孔雀は藍色、マクジャクは緑がかった羽を持っているらしいが、掲句の孔雀はどちらだろう。小さい頃家の近くにあった動物園にも孔雀がいて3時きっかりに羽を広げるという噂を友達から聞いたことがある。何回か動物園に通い、夕暮れまで檻の前でじっと待ってみたが、全て空振りに終わった。それ以来目の前で孔雀が羽をひろげる幸運にめぐりあったことはあまりない。最初から羽を広げている孔雀ではなく、長い尾羽を引きずりながら悠然と歩み寄ってきて、「はいっ」とばかりに気合を入れて羽を広げてくれるのがいいのだ。作者の眼前にやって来てするすると羽を開いた孔雀は金のまじった豪華な羽を夢のように揺らしているのだろう。うらやましい。『方寸』(2004)所収。(三宅やよい)




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