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September 2792008

 ページ繰るとき長き夜の新しく

                           蔦 三郎

もしろい本を夢中で読んでいる時思わず、どの位まで読んだんだろうと、残っているページの厚さを確かめてしまうのは、子供の頃からの癖だ。引きこまれるように読みながら、残りが半分を切っていると、このわくわくした楽しい時間がもうすぐ終わってしまう、と残念な気分になりながら、それでも早く先が読みたいし、小さいジレンマに陥るのだ。「長き夜」(夜長)は、暦どおり実際に夜が短い夏の「短夜」に対して、春の「日永」同様心情的な言葉だが、確かにこのところ、暗くなるのがめっきり早くなった気がする。過ごしやすくなり寝苦しいこともなくなってくると、かえって目が冴えてしまうものだ。この句の作者もそうなのだろう、かすかな虫の声につつまれながら、読書に耽る幸せな夜を過ごしている。本を読むことでしか得ることのできない、自分だけの空想の世界が、新しく、の一語でどこまでも広がってゆくようだ。『薔薇』(2007)所収。(今井肖子)




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