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March 2232009

 控除欄に百一歳の母納税期

                           佐滝幻太

ょうど先週の今頃は、いやいやながらも台所のテーブルに向かって確定申告の計算を始めていました。計算自体はそれほどに面倒なものではなく、小一時間も集中すれば終わってしまう作業ではありますが、なかなかやり始めようという気が起きません。それでも用紙に向かい、要求された欄にひとつひとつ数字を埋めてゆけば、年に一度のことゆえ、それなりの感興は湧いてきます。中でも「控除欄」は、納税者のかすかに抵抗の出来る、あるいは唯一、優しいまなざしの感じられる場所でもあります。「配偶者控除」に数字を入れれば、わたしには人生をともにしてくれる人がいたのだと改めて感謝し、「扶養控除」に数字を入れれば、わたしに頼って生きているものがコノヨに何人かはいるのだと、励まされもするわけです。今日の句も、その扶養控除を詠っており、ここではなんといっても「百一歳」の文字が光っています。扶養している、というよりも百一歳の身は、老人扶養親族として納税者の税額を立派に減らしてくれており、助けられているのはむしろ扶養する側であることを実感するわけです。それはおそらく、税金だけの問題ではなく、生きてゆく日々に、百一歳の母親から与えられるものは数多くあるはずなのであり、と、しかしこんな理屈は、暖かな春の日差しに日向ぼっこをしている百一歳の母親には、どうでもよいことなのでしょう。「俳句界」(2009年3月号)所載。(松下育男)




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