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May 2452009

 月に柄をさしたらばよき団扇かな

                           山崎宗鑑

崎宗鑑は戦国時代の連歌師・俳諧作者です。生計は主に「書」で立てていたということです。今日の句は、読んでいただければわかる通り、内容はしょうもないといえば確かにしょうもない。月に柄(え)を付ければ団扇(うちわ)のようだ、この暑い夜に涼やかな風を送ってくれないものか、とでもいう内容でしょうか。だれしも月を見上げて、ちょっと考えれば、似たような発想はいくらでも出てきます。串をさせば団子にも例えられ、障子にあけた覗き窓にも例えられる。今なら「子供の詩」にでも出てきそうな、単純で素朴な例えです。でも、そう言ってしまっては、宗鑑にも、今の子供にもたいへん失礼にあたるかもしれません。どれほど高邁な文学の発想であれ、つきつめれば月を団扇に見たてたものと、さほどの違いがあるわけではありません。珍しい発想ではないけれども、いえ、ありふれているからこそ個人にすっと入ってくるのです。どうしてこんなものに惹かれるのかという疑問をもちつつも、600年も昔に考えられたものからさほどに進歩していない自身の感性を、いとおしくも感じるわけです。卑俗に徹し、ともかく威張っていないところが、とても好ましく。『日本名句集成』(1991・學燈社)所載。(松下育男)




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