July 262009
盆休み祖母に甘える母がいた
竹内麻里子
本日も、全国の学生から公募して作った句集の中の一句です。娘の目から見た母親の姿を詠っています。ちょっとした驚きをもって、母親の姿を眺めています。自分の持っているどんな悩みにも、いつも的確に答えてくれるお母さんは、でも、もとからお母さんではなかったのだと、当たり前のことを確認しています。そうか、お母さんだって甘えられるだけではなくて、甘えたくもなるんだな、という思いは、自分がこれから歩む「時」の道筋を、すこし温かく感じさせてくれます。ところで、もう90歳に近いわたしの母親は、足腰が弱り、近所の老人会に行くのも一苦労です。先日、七夕の日に願い事をひとつ書いてくださいと言われ、「二十歳(はたち)になりたい」と書いたと、まじめな顔で言っていました。その話を聞いたときに、一瞬笑ってしまったものの、そののちにしゅんとなり、できるならそうしてあげてくださいと、わたしも真剣に願ったのです。『ことばにのせて』(2008・ブロンズ゙新社)所載。(松下育男)
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