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May 1352010

 まむしぐさ蛇口をすこし開けてをり

                           新妻 博

むし草は山野草のひとつで有毒植物と、植物図鑑に記載がある。写真を見るとすっぽり伸びた花茎には紫の文様があり、それがまむしの柄と似通っているため、この名前がつけられたらしい。毒々しく赤い実がびっしりと詰まっている様子を見てもあまり気持ちのよい植物に思えない。一説ではまむしの出るところに生えているのでこの名前がついたともあり、あまり陽の当らないうっそうとした場所に顔を出すのだろう。それにしても掲句を読んで水道の蛇口って「蛇の口」って書くんだな、と改めて気付かされた。毎日「蛇の口」から出される水で煮炊きし、顔を洗い、口を漱いでいるわけだ。銀色に光る蛇口をすこしひねる何気ない動作も「まむし草」という植物と取り合わされることで、木下闇に三角の頭をもたげて口を少し開けている毒蛇と連想がかぶって、おどろおどろしい光景が映し出される。使い慣れている言葉も定型を生かした取り合わせによって迷宮へ降りてゆく入口が開くようで、こうした句を読むたび尽きせぬ興味を感じさせられる。『立棺都市』(1995)所収。(三宅やよい)


March 3132011

 白すみれ關西へゆくやさしさよ

                           新妻 博

こ10年東京に住んでいるが話すときある種の緊張感がつきまとう。関西に戻り家族や友人と会話して初めて身体の底にある土地の言葉が自由に躍動する感じがする。新幹線を降りて在来線に乗り換え、関西弁のざわめきに包まれるとほっとする。「そやねえ」「ほんまに」と語尾の柔らかさに故郷の心地よさを感じる。関西生れの私にとっては「関西へゆくやさしさ」はそのような体験と重なるが作者にとって「やさしさ」を感じるのはどんな時なのだろう。可憐な「白すみれ」を配合に持ってきているぐらいだから彼の地にはんなりと明るいイメージを抱いているのだろうか。では関西を関東に置き換えるならどうなるだろう。そしてそれにふさわしい花は?句を眺めながらしばし考えている『立棺都市』(1995)所収。(三宅やよい)




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