公用語を英語にという企業。中国語も加えたいが社長が話せない。(哲




2010ソスN7ソスソス2ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

July 0272010

 魚屋の奥に先代昼寝せり

                           鈴木鷹夫

よお、大将いる?」「奥で寝てますよ」「いい身分だね、昼間っから寝てるなんて」「昼間っから魚屋冷やかしてる方もいいご身分じゃないんですか」「何言ってんだ、俺は客だよ。魚買いに来てんだ」「ありがとうございます。今日はいい鰺入ってるよ」先代が昼寝しているのがわかったのは、二代目に尋ねたからだ。それで日頃の付き合いがわかる。他人が昼寝している時間に魚屋に行った方も昼間から暇なのだ。ゆったりした時間が流れる。これを晩年と呼ぶならこんな晩年がいいな。「俳句年鑑2010年版」(2009)所載。(今井 聖)


July 0172010

 捨てきれぬ山靴ありし暑さかな

                           本郷をさむ

日は富士山をはじめ多くの山で山開きが行われる。歳時記によるとむかし山に登るのは修行であり信仰行事であったため、一般の人は山に登るのは禁止されていた。が、夏の一定期間だけは許されていたのでその名残だという。最近の中高年登山ブームに乗っかって、私も秩父の山に登ったりはするが、最後は息切れがして頂上へたどりつくのがやっとである。それでも山岳地図を広げ頂上を極めた山に印をつけるのは楽しい。ましてや若いときから登山を続けてきた人にとっては困難な高峰への登頂をともにした登山靴への思い入れは格別だろう。軽く歩きやすい登山靴がいくらでも出ている今、若い頃履いた重い山靴は実用に耐えそうにないが、それでも捨てきれない。そんな自分の執着を「暑さかな」と少し突き放して表現しているだけに作者のその靴に対する思い入れが伝わってくる。『物語山』(2008)所収。(三宅やよい)


June 3062010

 千枚の青田 渚になだれ入る

                           佐藤春夫

書に「能登・千枚田」とある。輪島市にあって観光地としてもよく知られる千枚田であり、白米(しろよね)の千枚田のことである。場所は輪島と曽々木のほぼ中間にあたる、白米町の山裾の斜面いっぱいに広がる棚田を言う。国が指定する部分として実際には1,004枚の田があるらしい。私は三十年ほど前の夏、乗り合いバスでゆっくり能登半島を一人旅したことがあった。そのとき初めて千枚田を一望して思わず息をのんだ。「耕して天に到る」という言葉があるが、この国にはそのような耕作地が各地にたくさんあり、白米千枚田は「日本の棚田百選」に選ばれている。まさしく山の斜面から稲の青がなだれ落ちて、日本海につっこむというような景色だった。秋になれば、いちめんの黄金がなだれ落ちるはずである。千枚田では田植えの時期と稲刈りの時期に、今も全国からボランティアを募集して作業しているのだろうか。春夫が千枚田を訪れたのはいつの頃だったのか。日本海へとなだれ落ちる青田の壮観を前にして、圧倒され、驚嘆している様子が伝わってくる。いちめんの稲の青が斜面から渚になだれ入る――それだけの俳句であるし、それだけでいいのだと思う。この文壇の大御所は折々に俳句を作ったけれど、雑誌などに発表することはなかったらしい。他に「松の風また竹の風みな涼し」「涼しさの累々としてまり藻あり」など、出かけた土地で詠んだ句がある。いずれも屈託がない。『文人俳句歳時記』(1969)所収。(八木忠栄)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます