July 032010
凌霄花けはしきまでに空青し
坂口裕子
凌霄花(のうぜんか)、ノウゼンカズラは一日花だが花の数が多いからか、いつもたくさん咲いてたくさん散っている気がする。百日紅や夾竹桃のピンクがかった赤は、強い日差しと乾いた暑苦しさを思わせるが、黄みがかった朱色の凌霄花にはなんとなく濡れた印象がある。梅雨のイメージが重なるからか、花が大きく柔らかくぼたぼた散ってしまうからか。そんな凌霄花の朱色と夏空の青と光る雲の白がきっぱりと鮮明な掲出句。凌霄花が咲き乱れているなんとも言いがたい様が、けはしきまでに、という表現を呼び起こしたのだろうか。それにしてもこんな夏空はもう少し先だな、と思いながら、七月の声を聞くとどこかわくわくして、真夏の句に惹かれてしまうのだった。俳誌「花鳥来」(2010年夏号)所載。(今井肖子)
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