July 242010
炎天の石を叩けば鉄の音
吉年虹二
炎天、見るからに熱くて暑い言葉だ。酷暑の日中の空やその天気をいう、ということで、空を眺めてみる。連日まさに猛暑だが、あらためて見ると炎天は、その中心に太陽がぎらぎら溶け出して、全体が白い光に覆われている。外に出て庭に敷いてある白い玉砂利にふれてみると、強い日差しを受けながらさほど熱くはないけれど、その横の金属のフェンスは焼けそうだ。この句は、実際石を叩いたのかどうか定かではないが、本来どこかひんやりしたイメージのある石も、炎天下で叩くと、鉄のような決して澄んで美しいとはいえない金属音がしたのだろうか。鉄の重さや、いつか見た溶鉱炉のどろどろとした炎色が思われて、ますます暑くなってくる。『狐火』(2007)所収。(今井肖子)
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