October 302010
水に生ふものの最も末枯れる
桑田永子
末枯(うらがれ)も俳句を始めて知った言葉のひとつだ。いつだったか俳句の中に「葉先」という言葉を使った時「葉の先の方と言いたかったら、葉末、という言い方もありますよ」と言われ、なるほどと思った記憶がある。いっそ枯れきってしまえば、冬日の中に明るさを感じることもあるけれど、この時期の草の、青さを残しつつ枯れ始める様はうらさびしい。以前「水辺の草が一番早く枯れ始める」という意味合いの句を見たような記憶がある。この句も詠んでいる事柄は同じだけれど、最も、という言葉の強さと、末枯れる、という口語のちょっと突き放したような終わり方が、惜しむ間もほとんど無いまま寒くなった今年の秋を思わせる。『遺句集「来し方」その後』(2010)所収。(今井肖子)
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