November 192010
冬の日と余生の息とさしちがふ
斎藤 玄
冬日がこちらに向って差してくる。こちらの余生の息を向こう側に向って吐く。冬日と息が交差する。真剣な冬日との対峙がここにある。はかない人の生と、太陽がある限りの冬日の永遠性が序の口と白鵬のように激突する。永遠という巨人に対峙して勝てるわけもない。しかしそのときその瞬間にそこに存在したという実感が得たいからさしちがえるのだ。他ジャンルと比べたとき俳句に誇りがもてるのはこういう句に出会ったときだ。まさに捨身の一句。『雁道』(1979)所収。(今井 聖)
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