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November 22112010

 オリオンや眼鏡のそばに人眠る

                           山口優夢

リオンは冬になると際立つ星座だから、季語「冬の星」に分類する。何の変哲もない情景を詠んでいるのだが、構図の取り方の巧みさが、情景に深い感情を添えている。単に枕元あたりに眼鏡を置いて眠っている人の様子なのだが、掲句では眼鏡をクローズアップすることによって、寝ている人がいかにも小さく思われるし、そのちっぽけな存在が天空のオリオン座に照らしてますます小さく見えてくる。そして、この存在の小ささが、この人へのいとおしさを呼び覚まし、ひいては人間存在一般へのそれを思わせてくれる。三好達治の二行詩「雪」(太郎をねむらせ、太郎の屋根に雪ふりつむ……)に通じる世界と言ってよかろうが、三好よりも構図にひねりを効かせたところが作者の発見であり、その才能の並みでないところでもあるだろう。構図取りにあまり凝りすぎるとあざとくなりがちなものだけれど、それを少しも感じさせないさりげない詠み方に好感を持った。「週刊俳句」(2010年11月21日付)所載。(清水哲男)


September 2792011

 小鳥来る三億年の地層かな

                           山口優夢

6回俳句甲子園大会最優秀句となった作品である。三億年前とはペルム紀という年代にあたる。ペルム紀は地球史上最大の大量絶滅で時代を終えた。それは連続した火山噴火の大量の粉塵によって太陽光が遮られたことによると考えられているが、これが9割の海洋種と7割の地上動物が死に絶えさせた。その後一億年の時間をかけ、生命は辛抱強く進化をとげ、ふたたび命あふれるジュラ紀、白亜紀を経て、現在の地表まで続いている。小鳥たちが翼を持ち、子育てのために移動をする手段を覚えたことも、悠久の歴史のなかで繰り返し淘汰され選択された結果である。掲句は渡ってきた小鳥たちを見上げ、踏みしめている土の深部に思いを馳せる作者が、地表から小鳥たちまでの空間を結びつける。地層を重ねる地球の上に立っている事実は、どこか地球のなりたちに加わっているような、むずむずとくすぐったい、雄大な心地となるのである。〈あぢさゐはすべて残像ではないか〉〈鳥あふぐごとナイターの観衆は〉『残像』(2011)所収。(土肥あき子)




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