JM}句

February 1222011

 人の息かからぬ高さ白椿

                           長谷川貴枝

いている様より落ちているのを詠まれることの多い椿。この時期、落ちる、は縁起が悪いからというわけでもないが、高みに凛とある張り詰めた白椿に惹かれた。白という色は、すべての光を集めた太陽光線の色だから、白椿はすべての光線を反射していることになる。そのやわらかな花弁のふくらみや丸みと、降りそそぐ光を早春の空にことごとくはね返す力強さとを合わせ持つ白玉椿。こうしているうちに一輪、枝を離れるかもしれないと見上げながら、その危うさも含め、艶な人の面影が重なって見える。『花の大歳時記』(1990・角川書店)所載。(今井肖子)




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