月は季節がめぐると共に、その色調や明るさなど印象が変わってゆく。すこし潤んだ春の月は、どこか心許なく見えたり、ふいに寂しくなったり、この句の作者のようにほっと安らぎを覚えたり。見上げる人の心持ちを映しながら、今日も変わらず夜を照らす。晴れていれば円かな月があるはずの今宵、願いと祈りをこめて空を仰ぎたい。『夕焼空』(1985)所収。(今井肖子)
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