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April 1642011

 花人にのぞき見られて花に住む

                           藤木和子

週水曜日に花の散り込む目黒川に沿って歩いた時、川に面したマンションの住人だろう、二階のベランダでお花見をしていた。手の届くところに花の枝が伸びていて、その近景と延々と続く桜並木の遠景は素晴らしいに違いなく、うらやましく見上げたのだった。この句の作者のお住まいは、のぞき見られているのだからマンションではないだろう。庭にみごとな桜の木があるのか、桜並木沿いにお住まいなのか、ともかく花時にはたくさんの人がそのお庭や窓を見ながら通り過ぎる。「観る」視線のまま歩く花人は、花以外もついついじっと見てしまうのかもしれない。この句からは、それを楽しむ余裕と、四季折々の自然の中でのゆったりとした暮らしぶりが感じられる。ちなみに、目黒川沿いのフェンスには近くの小学生が詠んだ俳句を書いた短冊がくくりつけてあった。その中に「春の川ピンクできれいいい季節 高松」という一句があり、そういえばいい季節だということを忘れていたな、とあらためて感じている。『ホトトギス新歳時記』(2010・三省堂)所載。(今井肖子)




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