田植えで辛かったのは中腰の持続だ。腰に良いわけないよなあ。(哲




2011ソスN5ソスソス11ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

May 1152011

 夏場所やもとよりわざのすくひなげ

                           久保田万太郎

相撲夏場所は8日に幕をあけた。このところしばらく、八百長問題で23人の処分を出すなど、史上例のない騒動をつづけてきた大日本相撲協会。春場所につづいて夏場所の開催も危ぶまれたが、何とか走り出した。しかし、これですべて解決したというわけではない。異例の入場料無料での開催として、別に被災地への義援金を募るという。有料にして、それを義援金とすべしという声もあがった。こうしたすったもんだの挙句の本場所開催を、相撲好きだった万太郎は、彼岸でどう眺めているだろうか。「すくひなげ」は「掬い投げ」で、相手のまわしを引かずに掬うようにして投げる決まり手である。寄切りや押出しなどよりも、このわざが決まった時はじつに鮮やかである。往年のわざ師・栃錦か初代若ノ花のきびきびした土俵を彷彿させる。じっさい万太郎は彼らのわざを目の当たりにしていたか、イメージしていたのかもしれない。俳句として「もとよりわざの」という中七のテンポがみごとに決まっている。「すくひなげ」が、言うまでもなく当然のごとく決まったというのである。なかなかのわざ師。俳句で「もとより」などという言葉はやたらに使えるものではないし、ここは解放感のある夏場所でなくてはなるまい。わざが絵に描いたように決まって、館内の歓声までも聴こえてくるようだ。一月の春場所と五月の夏場所の本場所二場所制は、明治十年から長くつづいた。万太郎には他に「夏場所やひかへぶとんの水あさぎ」という秀句もある。いかにも夏。『新歳時記・夏』(1996)所収。(八木忠栄)


May 1052011

 愛鳥週間拾ひし羽根を栞とす

                           齋藤もとじ

日から始まる愛鳥週間。アメリカ4月10日から始まる「バードデー」にならって日本でも1947年に導入されたが、南北に長い日本では4月ではまだ積雪が残る地域もあることから5月10日に変更された経緯がある。小鳥をとりまく生態系を含め守っていこうという愛鳥意識を高めることが目的だというが、日本人は昔から鳥に対して、ほかの動物とは違った深い愛情を注いできたと思う。たとえば、鳥の声の「聞做(ききなし)」などにも親近感が表れている。聞做は、鳥の声の調子や音色を身近な言葉に置き換えたもので、ホトトギスの「東京特許許可局」「てっぺんかけたか」、ツバメの「土食って渋ーい」、コジュケイの「ちょっと来い」などが有名である。ほかにも昔話の「雀のお宿」にしても、雀が女中さんに扮していても、嫌悪感を感じることはまずなく、雀なら可愛い仲居さんになれそうな気がする、とたやすく想像できる。掲句も、羽根ペンに使うような美しい羽根を見つけた作者が、躊躇なく手持ちの本に挟んで持ち帰ったことに多いに共感するのである。以前、わたしも落ちていた小さな羽根を押し花のように本に挟んでいた。意外だったのはいつまでたってもその頁を開くたびに、ふわっと羽根のかたちがよみがえることだった。ふわふわと風に乗っていきそうな羽根を見るたびに、このしなやかな羽根の持ち主が、今もどこかでにぎやかにさえずっている姿を思うのだ。「続氷室歳時記」(2007)所載。(土肥あき子)


May 0952011

 父祖の地の青き嵐も売り渡す

                           関根誠子

情があって、先祖代々伝わってきた父祖の地を売却した。青葉若葉の季節で、折りから気持ちの良い風も吹いている。私にこういう経験はないけれど、土地を売却するのはなかなかに勇気のいることだろう。もう不要だからとは思っても、いざとなると愛着がいっそう増してくるからだ。父祖の土地を売るとは、単に地面を売ることではない。地面とともにそこに染みついた家の歴史や環境までをまるごと手放すことだからだ。できればこの「青い嵐」くらいはとっておきたい気持ちだけれど、むろんそうは行かない。だから、この「青い嵐も」の「も」という表現には、決心の強さといささかの逡巡の気持ちが入り交じっている。表面的にはサバサバしている感じの句だが、この「も」が作者の微妙に揺れる心持ちを表していると読んだ。『浮力』(2011)所収。(清水哲男)




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