関東も今年はずいぶん早い梅雨入りだった。傘嫌いには殊に憂鬱。(哲




2011ソスN5ソスソス28ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

May 2852011

 すゞかけもそらもすがしき更衣

                           石田波郷

前目にした時は、空、だった気がするが、平仮名の方がいいなあ、と。いずれにしても調べも音も色彩も気持ちのよい句だ。一昔前は、学校も六月一日に一斉に更衣をしていたので、教室に入ると、制服が紺から白へ一気に明るくなり更衣の実感があった。最近は五月から移行期間をもうけて、暑い人は夏服可、とするので以前ほどの感動はない、合理的ではあるが。この時期、個人的には衣服の入れ替えとは別に、初めて半袖一枚で外出する日、更衣に近い感慨があるように思う。そんな日は、夏が来たなあと実感しつつ、この作者のように、何もかもすがすがしく感じるのだ。『最新俳句歳時記 夏』(1972・文藝春秋)所載。(今井肖子)


May 2752011

 島を出し船にしばらく青嵐

                           片山由美子

と陸との距離が明解。その距離がしだいにひろがる。その時間が「しばらく」だ。ここには時間と距離が詰まっている。空間構成が中心に据えられていて情緒に凭れない。知をもって空間を捉える山口誓子に発した伝統が鷹羽狩行を経由して着実にこの作者に受け継がれていることがわかる。こういう方法に今の流行は抵触しない。しかし、それは俳句の伝統的な要件を踏まえた上でクールな時代的感性を生かした現代の写生である。『季語別・片山由美子句集』(2003)所収。(今井 聖)


May 2652011

 五月闇吸ひ込むチェロの勁さかな

                           朝吹英和

ェロは魅力的な楽器である。単独でのチェロの演奏を切り開いたのはパブロカザロスらしいが、古ぼけた復刻版でバッハの「無伴奏」など聴いていると心が落ち着く。チェロは弦楽器であるから、弓で弦を振動させて音を出すのだが、そのチェロの響きを「五月闇」を「吸ひ込む」と表現してチェロの太くて低い音質を感じさせる。雨を含んで暗い五月闇は否定的な印象で使われることが多いが、この句の場合その暗さをゆったりと大きく広がる魅力的なチェロの響きに転換し、しかもそれをチェロの「勁さ」と規定しているところに魅力を感じる。作者自身演奏者なのか、この句集では様々な楽器をテーマに音楽と季節との交歓を詠いあげている。「モーツァルト流れし五月雨上る」「薔薇真紅トランペットの高鳴れり」『夏の鏃』(2010)所収。(三宅やよい)




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