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May 3052011

 愚かゆえ梅雨どしゃ降りを酒買いに

                           今江立矢

雨の句には、当たり前だが鬱陶しいものが多い。この句では、ご当人はさぞかし鬱陶しいことだろうが、読者にはむしろ明るく感じられる。ドジな人だなあと、可笑しくなってくるからである。酒くらい降ってない日に前もって買っておけばよいのに、それを選りに選ってどしゃ降りの中を買いに行くとはね。でも、そんな思いをしてまで買いに行くのが酒飲みというものだ。よほど今夜は飲むのをやめようかと何度も逡巡したけれど、結局は辛抱たまらずの外出なのだろう。降りしきる雨のなか、ズボンの裾を濡らしながら、おのれの愚かさを自嘲している。「愚かゆえ」には間違いないけれど、この愚かさは事情や場面が違えば、実はまた読者のそれでもあるだろう。だから、読者はこの句の作者に愛すべき人間像を見いだして、微笑することができるのである。まことに俳句とは「思い当たりの文芸」である。『現代俳句歳時記』(1989・千曲秀版社)所載。(清水哲男)




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