cte句

June 0162011

 子の背伸び出してはしまう更衣

                           内田春菊

どもの成長は早い。タケノコのようにグングン背が伸びる。去年着ていた衣服が、今年はもう着られなくなってしまうなんてことはもちろんだが、去年は大きすぎた衣服が今年は小さすぎる、などということはざらにある。母親はあれこれと出してみるけれど、子どもの背はどんどん先へ先へと伸びている。夏の衣服を出したりしまったりして「あら、まあ」などと戸惑いながらも、わが子の成長ぶりに眼を細めているのだろう。春菊は父親が全部ちがう四人の子どもの母親だった。さぞ大変な時期があったものと思われるが、けろりとして(?)このような句を詠んだ。現在の替衣は六月一日と十月一日。しかし、そうした季節感は私たちの日常からは薄れてきてしまっている。今夏は節電の影響もあって、クールビズなるものがまたはやっているようだ。それでも和服のほうでは現在でも、前年十月〜五月:袷、六月:単衣、七〜八月:薄物、九月:単衣、とされているらしい。基角に「越後屋に衣さく音や替衣」の名句がある。『命の一句』(2008)所載。(八木忠栄)




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