June 162011
四国とは背伸びの子象風すずし
橋本 直
日本地図の四国のかたちをじっと見る。細長く伸びる佐田岬が子象の鼻だとすれば、三角にとんがった足摺岬と室戸岬が前脚と後脚にあたるのだろうか。物を別なものになぞらえる見立ては俳句ではあまり好かれないようだ。「四国とは」の「とは」も説明的だと言われそうだ。だけど見立ては決まりきった見方を切り崩し新鮮な側面を描き出す手法でもある。この句の場合、「背伸びの子象」という表現に託された四国は愛らしく微笑ましい。せいいっぱい身体を伸ばす子象に吹きわたる風。この句を読んで四国を思うと水色の海に囲まれた島が夢ある土地に思えてくる。『水の星』(2011)所載。(三宅やよい)
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